【2023年最新刊】東野圭吾「魔女と過ごした7日間」感想レビュー
書店に平積みされていました。
2023年3月27日刊行の東野圭吾氏の最新刊です。
記念すべき100作目だそうです。
「ラプラスの魔女」シリーズです。
「ラプラスの魔女」は映画化もされていますね。
映画も観たことありますし、本も読んだことがあり、非常に面白かったので今回も期待して購入しました。
東野圭吾「魔女と過ごした7日間」
ページ数:410ページ
まとまった時間を取れなかったので、読み終えるのに6日間ほどかかりましたが、読みやすく展開もスピーディーで、最後までハラハラし通しでした。
物語は、一人の男性の死からスタートします。
その死の謎と犯人を探し出すのは、謎の女性と殺された男性の息子(中学3年生)とその友人です。
この謎の女性が特殊な能力を発揮します。
そうです、この女性が“ラプラスの魔女"です。
彼女の特殊な能力では、あらゆる現象が、次にどうなるのか、どうすれば自分の思い通りの結果を導き出せるのか、ということを瞬時に予測することができます。
"ラプラス"とは数学の確率の分野の「二項分布の正規近似についての定理」だそうです。
私には全く理解できませんが、世の中で起きている事象にはいろいろな要件が複雑に絡み合っていて、それぞれに○○係数、××係数があり、それを計算式に当てはめて計算すると確率論的に一定の結果が導き出せるということだと解釈をしました。
本著にも、
閉まりかけたエレベーターの扉に遠くからボールを転がして挟んだり、ビリヤードのナインボールで一回で全ての球をポケットに落とす技を見せたり、カジノのルーレットで狙った数字に球を落とす芸当を見せているシーンがあります。
これは全てラプラス定理により導き出されているんだと思います。
なぜ「思います」なのかというと、本文にはその説明は一切書かれていないからです。なので、登場人物も彼女がなぜそのようは芸当をできるのかは理解できず、それは最後まで解説もされません。
「ラプラスの魔女」にはその説明がしっかりと書かれています。
私は「ラプラスの魔女」に書かれていた内容(解説)を思い出しながら、本著を私なりに解釈しました。
謎を解明していく過程で、警察の闇も浮き彫りになります。
警察として隠しておきたいこと、世間に公表できないことなど、ドラマや小説でよく描かれる警察上層部、国家権力の思惑的な類です。
マイナンバーカード(本著ではIDナンバーカードと表現していますが)もポイントです。
(現実社会でもマイナンバーカードの普及を推進されていますが)国民の情報を国が収集している真の目的は...
是非、購入して確かめてください。
中学3年生の息子と友人の活躍にも注目です。
彼らの活躍もあり、犯人逮捕と事件の全容は解明されますが、「犯人はこの人だったのかぁ」と驚かされます。
「ラプラスの魔女」を事前に読んでおいた方がより理解が深まるかもしれません。
興味のある方は是非下記からご購入ください。
最後に、私のお気に入りの文章をご紹介します。
謎の女性の不思議な能力に対して刑事が「トリックなのか?」と質問した時に
「すべての出来事を自分の理解できる範囲に収めてしまおうとするのは強引だし、傲慢です。そんな狭小な世界観から解き放たれた時、人間は初めて次のステージに一歩踏み出せるんです」
と謎の女性は答えます。
人はどうしても自分の価値観や知っている範囲で物事を判断、理解してしまいがちです。多様性が叫ばれる昨今では尚のこと自分だけの判断基準ではなく、幅広く、柔軟な考え方をする癖をつけ、信じられないことでも受け入れられる姿勢をもつことが大切だなぁと気付かされました。