ハンス・ロスリング「ファクトフルネス』感想レビュー
2019年に刊行された
「ファクトフルネス」
先日読んだ「天才読書」と「人は悪魔に熱狂する」で紹介されており、「天才読書」の中ではビル・ゲイツ氏の推薦図書にもなっていました。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]
刊行当時、世間でも話題になっていたので読んでいましたが、改めて読みたいという気持ちが芽生え、
家の書棚から引っ張り出してきました。
ページ数…343ページ
読んだことがある方も多いかもしれませんが、
そもそも“ファクトフルネス(factfulness)“とはどういう意味なんでしょうか?
辞書で引くと
factfull(事実に満ちている)+ness(な状態)
だそうです。
直訳するとこういう意味ですが、
通常使われている意味としては
「先入観や思い込みを排除したデータに基づいた視点」ということです。
まさにこの本で伝えたいことだと思います。
この本は、人間が持っている“本能"を10に分けて解説していきます。
⚪︎分断本能…
「世界は分断されている」という思い込み
⚪︎ネガティブ本能…
「世界はどんどん悪くなっている』という思い込み
⚪︎直線本能…
「世界の人口はひたすら増え続ける」とい思い込み
⚪︎恐怖本能…
危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み
⚪︎過大視本能…
「目の前の数字が一番重要だ」という思い込み
⚪︎パターン化本能…
「ひとつの例が全てに当てはまる」という思い込み
⚪︎宿命本能…
「すべては予め決まっている」という思い込み
⚪︎単純化本能…
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
⚪︎犯人探し本能…
「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
⚪︎焦り本能…
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
以上、10個の本能を実体験やデータを披露しながら解説していきます。
そして、冒頭に13個のクイズが出されます。
質問:
現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
A:20% B:40% C:60%
こんな感じのクイズが13個あります。
正解は是非、本を購入して確認して頂きたいですが、正解率はものすごく低いようです。
「え、そうなの?」と思う回答がたくさんあります。
チンパンジーは質問の内容はわからないので当てずっぽうで回答を選びます。
要は確率の問題なので、正答率は33%です。
人間はそれよりもはるかに低い正解率だそうです。
専門家や知識人や高学歴な人であっても正解率にあまり変化はありません。
国ごとに若干の違いはありますが、それでもチンパンジーよりも低い正解率です。
いかに人は、先入観や思い込みで物事を判断しているかということです。
私自身もかなりの低正解率でした。
著者は
「人々がとんでもなく世界を誤解していることに気づきました。(中略)事実に基づいて世界を見ることができていないのです。なぜでしょうか?それは誰もが持っている10の本能が原因です。」
と記しています。
この本能を持っていること自体は仕方ないと思いますが、それを認識し、抑え込む努力をすることが重要であると著者は言っています。そうしないと世界を正しく認識することができず、社会問題を解決することも、未来を予測することも、危機に対応することもできないと主張しています。
確かに私たちは自分のいる世界の価値観や常識で物事を判断しがちですね。
すごく勉強になった一冊でした。
読み直してよかったです。
コロナ前に刊行された書籍なので、データは少し古いかもしれませんが、著者のメッセージや考え方には影響はないので読む価値はあります。
まだ読んだことない方は是非読んでほしいですし、読んだことある方も、今一度読み直して欲しいです。