読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

東野圭吾 文庫本「クスノキの番人」あらすじ&感想レビュー

クスノキの番人」

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著者;東野圭吾

発行日;2023年4月15日 初版第1刷発行

    2023年5月12日 初版第3刷発行

ページ数;483ページ

読了日;2023年5月21日

【評価】

● 文字量  ★★★☆☆

● 状況説明量☆☆☆☆

● スリルさ ★★★★

● 恋愛要素 ☆☆☆☆

● スピード感★★★☆☆

【あらすじ】

主人公の直井玲斗は素行の悪さから警察の厄介になってしまいます。起訴が決まりそうになった時、弁護士からある伝言を告げられます。

直井玲斗様へ。もし自由な身になりたいのなら、全てを岩本弁護士に委ねなさい。(中略)無事に釈放された際には、速やかに私のところへ来なさい。あなたに命じたいことがあります。

伝言の主がわからないまま、その伝言を受け入れて玲斗は釈放されます。そして伝言の主を訪れ、ある任務を命じられます。それがクスノキの番人“です。

ある神社に鎮座する巨木クスノキ。そこはパワースポットとして有名な場所で、それ目当てに訪れる参拝客が多くいます。彼の役目はそのクスノキの管理や境内の掃除などです。一見、ただの番人なような気がしますが、実はそのクスノキには秘密があります。参拝する人は昼間だけではありません。夜間に参拝する人もいます。しかも夜の参拝は完全予約制。誰でも予約ができる訳ではなく、特別な思いや事情がある人だけが予約ができクスノキ『祈念』することができます。番人の真の役割は夜間に『祈念』する人の管理とお世話なのです。

玲斗に番人の任を与えたのは誰なのか?

クスノキの番人とは具体的にどんなお仕事なのか?

クスノキへの『祈念』とは何なのか?

なぜ『祈念』するのか?

クスノキから得られるご利益とは何なのか?

【感想】

読むのが止まらなくなるくらい面白い本でした。途中までクスノキの秘密が全くわかりません。なので想像しながら読み進めるのが楽しかったです。非常に夢のある、希望が持てる秘密です。

主人公の直井玲斗は出自の不幸から最初は素行の悪い人間として描かれています。悪さをして警察に捕まったり、言葉遣いもなっていない、意思決定もいい加減、洋服も持っていない、もちろんお金も持っていない、いわゆるクズ人間として登場します。釈放してもらうのに伝言の主にお金を肩代わりしてもらったという恩とどうでもいい人生だからという軽い理由で番人を引き受けます。ただ、クスノキの番人をし、様々な複雑な事情を抱えた人たちとの交流により一人前の人間へと成長をしていきます。番人は『祈念』に来る人への関わりを深く持ってはいけないことになっています。番人を引き受けた当初、クスノキへの思い入れも弱く、クスノキの秘密を知らないということもあり、教え通り深く関わろうとしないのですが、徐々に秘密がわかってきたこととある女性との出会いと恋心により、彼は深く関わっていきます。ここは非常に若者らしくていいですね。

この本は人生に嫌気がさしていたひとりのクズ人間が、あることをきっかけに役割を与えられ、責任感をもつことで成長していく物語です。そしてテーマは家族愛でしょうか。大きく3つの問題に関わっていきますが、どれもパターンの違う家族愛を描いています。伏線もしっかりと回収していますので、読み応え十分な1冊です。是非読んでみてください。

クスノキの秘密がわかるまでの私の気持ちはドキドキ。秘密がわかった後の気持ちは感動による「ジーン」でした。皆さんはどんな気持ちになるでしょうか。