読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

伊坂幸太郎「777 トリプルセブン」あらすじ&感想

『777 トリプルセブン』

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著者  ;伊坂幸太郎

発行日 ;2023年9月21日 初版発行

ページ数;291ページ

読了日 ;2023年10月17日

【評価】

● 文字数  ★★☆☆☆

● 読みやすさ★★☆☆☆

● スリルさ ★★★★★

● 恋愛要素 ☆☆☆☆☆

● スピード感★★★★

【あらすじ】 ※ネタバレなし

舞台は超高級ホテルのウィントンパレスホテル。殺し屋の“七尾“( 通称:天道虫)は“真莉亜” からの依頼でこのホテルの一室にプレゼントを届ける仕事を引き受けた。今回の仕事は簡単かつ安全な仕事であるはずだったが、届けた部屋にプレゼントを受け取るはずの人物とは別の人物がいて、思わずその男を殺害してしまった。一方、ある部屋では、“乾“ と呼ばれる男に追われ、このホテルに潜んでいた” 紙野結花“が逃がし屋の異名を持ち、有能なハッカーである” ココ“に依頼し、ホテルからの脱出方法を模索している。 また、乾から紙野結花を捕まえる依頼を受けた男女”六人組“ がウィントンパレスホテルに到着し、防犯カメラ映像を頼りに紙野結花が潜んでいる部屋番号を探し当て、彼女を捕まえに手分けして部屋に向かっている。更に、紙野結花のボディーガードをココから依頼された”高良“と” 奏田“がホテルに潜伏しココと合流するのを待っていた。そして、2階のレストランでは、情報局の長官で元政治家の”蓬実篤“ が新聞記者の”池尾充“と食事をしながら取材を受けている。このあと、このホテルでは必然、偶然問わず様々な殺害行為が実行される。そして、死体の片付けをするのが、またまた乾から依頼を受けた”マクラ“ と”モウフ“の二人である。

逃げる紙野結花とココ、追いかける六人組。仕事を終えた七尾は依頼主の真莉亜に急用を伝えるためにホテルから出ようとし ていたが、ひょんなことから紙野結花を助けなければいけなくなってしまった 。やることなすことすべてが裏目に出てしまい、不運に見舞われ、ことごとくツイていないのが七尾という男。ボディーガードの奏田とも合流するが、なぜか高良はいない。そうこうしているうちに、六人組の各々が武器の吹き矢で七尾と紙野結花を仕留めに次々と襲ってくる。七尾は格闘の末に次々と六人組を殺害していく。次から次へと死体が出来上がっていくが、その死体の中になぜか七尾が殺害したのではない人間も含まれている。このホテルにそれぞれ違った目的と思惑で集まった者たちが、自身の目的達成のために予想外の殺人を犯していく。

なぜ紙野結花は乾から追われているのか。

乾とはどんな人物なのか。

無事に紙野結花は脱出できるのか。

なぜこんなにもたくさんの死体が出来上がってしまうのか。

そして、この一連の殺害とは無関係に見える蓬実篤と池尾充とはどんな人物なのか。

このホテルでの出来事の本当の狙いとは何なのか。

複雑に絡み合った人間関係と背景が物語をスリリングに仕立て上げ る。

【感想】

最初は非常に読みにくいと感じました。登場人物の多さと場面転換の多さでストーリーを追っかけるのに必死でした。でも、途中からこの複雑に絡み合い、先行きが見通せなかった人間関係が鮮明になってくると一気にこの本の面白みが増していきました。ですので、本作を読むときには途中まで我慢をするという覚悟を決めてから読み始めてください。

さて、物語はある高級ホテル内で起こります。「業者」と呼ばれる裏の社会で活動する人間(組織の場合もありますが)が依頼主からの依頼によって、殺害を含めた数々の闇の仕事をこなしていきます。物語の主軸として展開していくのは、驚異の記憶力を持つ紙野結花の捜索です。捕まえるためにチームプレイで行動する六人組とシステムをハッキ ングして六人組から逃れようとする紙野結花とココの攻防はスリル満点。そこに、別の依頼でホテルにたまたま居合わせた殺し屋の七尾の不運さと一連の逃亡劇へ巻き込まれる様はある種の滑稽さも覚えます。

「●●号室」「△△号室」「■階」 など各章ごとに場面設定がされているのでわかりやすくはありますが、一方で「あれ、この部屋では何が起きていたっけ?」「この部屋には誰が潜んでいたんだっけ?」と記憶を遡るのが少し大変でした。でも、それを着実に思い出し、前後関係を理解することでこの本は更に面白くなると確信しました。

正直、人が殺されていく描写が多い、ゴールが見えてこない、タイトルの「777(トリプルセブン)」 の意味が分からないなど、モヤモヤ状態で読み進めなくてはいけませんでしたが、最後に待っていた大どんでん返しでその気持ちは一気に晴れました。

根気強く読める人は絶対に楽しめる1冊です。是非購読してみてください。