読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

真保裕一「おまえの罪を自白しろ」あらすじ&感想

『おまえの罪を自白しろ』

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著者  ;真保裕一

発行日 ;2022年5月10日 第1刷

     2023年9月5日 第5刷

ページ数;372ページ

読了日;2023年9月28日

【評価】

● 文字数  ★★☆☆☆

● 読みやすさ★★★★

● スリルさ ★★★★★

● 恋愛要素 ☆☆☆☆☆

● スピード感★★★★★

【あらすじ】 ※ネタバレなし

現役の衆議院議員である宇田清治郎の孫娘が誘拐された。宇田清治郎は建設省官僚を経て、埼玉15区選出の衆議院議員となり、現在は6期目である。宇田家は、清治郎の妻の父の代から国会議員を務めており、清治郎は婿養子となり宇田家を継いでいる。清治郎には、子供が3 人おり、長男の揚一郎は埼玉県議で子供は2人。 長女の真由美は、緒形恒之と結婚し、3歳の娘(柚葉)がいる。 緒形恒之は埼玉県戸畑市の市会議員。 宇田清治郎の後継を狙って真由美に近づき結婚したが、宇田の姓を名乗ることは許されていない。次男の名は宇田晄司。政治家一家(特に父親)に反発し、家を飛び出し自らの会社を興すが、仲間に裏切られて倒産。今は清治郎の秘書を務めており、5か月が経っている。

そんなある日、真由美の娘であり、晄司の姪である柚葉が誘拐された。真由美と柚葉が近所の公園で遊んだ帰り道、 何者かに襲われて柚葉だけさらわれてしまった。

犯人からは以下の要求がきた。

宇田清治郎に告ぐ。我々の要求は金銭ではない。孫娘の命を救いたければ、明日午後五時までに記者会見を開き、おまえの罪を包み隠さず自白しろ。今までの政治家として犯してきたすべての罪を、だ。

犯人の狙いは柚葉の両親ではなく、祖父で衆議院議員の宇田清治郎であることが判明した。 清治郎には、建設省官僚であったためか今までも地元の公共事業の推進に関してたくさんの疑惑があったが、いまだに明るみにでた事案はなく、警察もすべてを解明できていない。過去にも捜査のメスが入ったことはあるが真実まで到達することはできなかった。すべてを知っているのは清治郎のみ。誘拐事件の解決に奔走する刑事(警察)。姪の柚葉を救うことに奔走する晄司。晄司は父の清治郎に罪を自白することを迫る。

果たして、清治郎はすべての罪を自白するのか。

果たして、孫の柚葉は無事に救出されるのか。

果たして、犯人の真の狙いは何なのか。

果たして、無事に犯人は捕まるのか。

【感想】

政治家のスキャンダルと誘拐事件というダブルのミステリーで展開されるストーリーです。宇田清治郎が今までに犯してきた罪について、所属する政党、内閣総理大臣官房長官、幹事長などと駆け引きをしながら、どこまで自白すべきなのか、誰を(何を)守らなくていけないのかをリアルに描写しています。犯人からの要求の記者会見まで24時間を切っている中、様々な人の思惑が交錯していきます。3歳の少女の命を救うことを第一優先にしなくてはいけないことは全員がわかっているものの、自身を保身することを捨てきれずに決断ができない人、保身のために誰を切り捨てるかを真剣に悩む人、実際の政治の世界でも同様なことが起きているんだろうなと感じられるストーリー展開でハラハラドキドキが止まりませんでした。著者の真意はわかりませんが、読書を進めていく中で、私は、この政治家間での駆け引きが安倍元総理の“森友問題“や“加計問題“の構図に近いなと感じました。本作中に登場する内閣総理大臣の名が安川泰平で「安」の字が使われているのも影響しているかもしれませんが。なので余計に作中の政治問題がわかりやすく、入り込みやすかったのかもしれません。本作は政治家のスキャンダルと誘拐事件というダブルのミステリーですが、大半がスキャンダル部分で構成されてい流のは事実です、ですが、最後には誘拐事件の真相も明らかになりますので安心して読んでください。

本作は、2023年10月20日、主演中島健人さん、堤真一さんで映画化されるようです。残されている時間が24時間を切っている中で、誘拐された少女を救い出すために何を選択し、何を諦めなくてはいけないのか、この緊迫感がどのように映画の中で表現されるのかが楽しみです。映画を観るのも良し、映画を観る前に原作を読むのも良し。いずれにしろスリルを味わえること間違いなしです。