読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

安部龍太郎箸『家康(七)秀吉との和睦』感想レビュー

大河ドラマ「どうする家康」に触発されて読み始めた

 安部龍太郎『家康』シリーズ

第七巻は

 秀吉との和睦

です。

  家康(七) 秀吉との和睦 (幻冬舎時代小説文庫)

ページ数…338ページ


小牧・長久手の戦いで秀吉に大勝利した家康が

どのような経緯で和睦をするのか

楽しみながら読みました。

テンポ良く読めたので3日間で終えました。

 

数的不利な状況でも勝利した家康。

秀吉に対して優位な立場になったかと思いきや

そんなことは全くありませんでした。

秀吉は持ち前の知略さと巧みな交渉術で

まずは家康方だった織田信雄を取込みます。

そして、信雄を交渉役にして、

和議を申し入れてきますが、

家康は自身が提示した条件が通らなかったため

和議を断ります。


武力ではまだ圧倒時に不利な家康。

そこに追い打ちをかけるような秀吉の関白就任。

いよいよ勝つ見込みがなくなってきました。

 

次の交渉役は石川数正です。

大河ドラマでは松重豊氏が演じており、

家康が今川家の人質になっていた時から

30年以上も支えてきた一番の家臣です。

 

数正は秀吉と家康の取次役を担っていたためか

秀吉寄りの条件を家康に持ちかけてきます。

しかし、その条件を家康に飲ますことができず、

数正はなんと出奔してしまいます。

一番の理解者で、一番忠実だった石川数正の出奔。

「マジか❗️ 」とビックリしました。

家臣に裏切られた家康はもちろん気落ちしますが、

後々、これは全て徳川家のためだったと家康は知らされます。

 

和議が成立せずにお互いが緊張状態にある最中、

天正地震」が起きます。

甚大な被害を受けた秀吉勢は家康討伐を諦めます。

もし地震が起きてなかったら、

秀吉は家康を攻撃し、滅ぼしていただろうと

言われているそうです。

なんとも強運の持ち主です。

結局、秀吉と家康はお互いの落とし所を探りながら

和議を結びます。

信長没後から続いたわだかまりが解消されます。

 

改めて本能寺の変の真相を聞いた家康は、

秀吉の

 賢さ

 スケールのデカさ

 思考の深さ

を知り、この人には逆らえないと痛感します。

織田信雄石川数正も同じように思ったからこそ、

家康に対して秀吉に服するように進言をしたんだと思います。

 

そして、注目は最後の秀吉と家康の会話です。

二人が分かり合えた瞬間なのではと思います。

「おみゃあさんは信長公が亡くなられたと

 聞いた時、頭の重しが取れた気がせんなんだか」

「確かに頭上の暗雲が晴れて、

 見晴らしのいい場所に立ったような

 気がいたしました」

「わしもそうだわ。

 本能寺の変を止めなかったのは、

 そんな重圧から解き放たれたかった

 からかもしれんて」

 

さて、いよいよ第八巻 明国征服計画 です

秀吉とタッグを組んだ家康が

どのように振る舞うのか楽しみです。