安部龍太郎箸『家康(六)小牧・長久手の戦い』感想レビュー
大河ドラマ「どうする家康」に触発されて読み始めた
安部龍太郎氏『家康』シリーズ
第六巻は
です。
信長が倒された"本能寺の変"
織田家の後継争いをきっかけに
勢力図が大きく変わっていきます
争いは常に秀吉優位で進みます。
六巻では、
⚪︎本能寺の変の真相
⚪︎家康が秀吉と雌雄を決すると決めた経緯
⚪︎家康が秀吉に勝つための情報戦からの戦略
⚪︎小牧・長久手の戦いでの戦術
などが描かれていますが、
登場人物と地理的描写がすごく多いです。
しかも「身方になった」「敵方に寝返った」
が繰り返されて、追っかけて理解するのが
すごく難しい巻でした。
途中で全てを把握することは諦めて
全体の流れを把握することにしてしまいました
多少苦労したので読むのに4日間程かかりました
ただ、ここでも家康の人間性がわかります。
敵方を身方に引き込む交渉術と人間性
本能寺の変の首謀者と思われる人物の活用
など、
天下人になるための言動や思考が描かれています。
特に、近衛前久氏は本能寺の変の首謀者と疑われており、家康にとっては主君を殺した仇にも関わらず、
織田家を存続させ、秀吉に勝つためには彼を上手く利用した方が良いと考えるあたりは目的の明確化と思考の柔軟性を感じました。
一方、秀吉の台頭も素晴らしいです。
詳しくは書かれていませんが、
秀吉のずる賢さと巧みな交渉術、
自分の目的達成のためには
誰にでも媚びへつらう姿勢は
出世、成功していく上では
必要なことかもしれません
それは現代でも同じことなのかも…
ただ、秀吉の裏では常にある人物がいます。
黒田官兵衛です。
頭脳明晰でクリスチャンでもある彼の助言で
秀吉は動いています。
史実では、
官兵衛は秀吉に左遷させられてしまいますが、
"秀吉の成り上がり人生に官兵衛の存在アリ"
は事実です。
この小説では官兵衛の詳細は描かれていないので、
是非、彼の物語も読んでみたいものです
さて、6巻では、
家康はかなりの実力と自信を身につけます。
秀吉とのバトルが本格化した
"小町・長久手の戦い"で秀吉に圧勝します。
本格的に敵対した"家康"と"秀吉"
第七巻は『秀吉との和睦』です。
秀吉を憎み、雌雄を決すると断言した秀吉と
どういう経緯で和睦に至るのか楽しみです。