読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

川上未映子「黄色い家」」感想レビュー

書店に行って平積みされていたので購入して読んでみました。

川上未映子「黄色い家」

ページ数;601ページ

発行日;2023年2月25日

読了日;2023年4月21日

【評価】

  • ページ数 ★★★★★
  • 文字数  ★★★★☆
  • 状況説明量★☆☆☆☆
  • 読みやすさ★★★★☆
  • スリルさ ★★☆☆☆
  • 恋愛要素 ☆☆☆☆☆
  • スピード感★★☆☆☆

【あらすじ】

ある女性(吉川黄美子)が20歳の女性を監禁し暴行していた疑いで逮捕されたというネットニュースをある少女(伊藤花)が発見します。

伊藤花は自分が15歳から20歳くらいまでの5年間(20年ほど前)、吉川黄美子とともに生活をしていた経験がありました。全くの音信不通でしたが突然の逮捕ニュースに昔を思い出し、当時、一緒に生活をしていた仲間のもとを訪ねますが、その仲間からは「今更思い出したくもない。私たちがやっていたことはかなりヤバいことだったので関わらないでほしい」と言われて突き放されてしまいます。

20年前のヤバいこととは…。

不思議な縁で集まった3人の少女と1人の女性の奇妙な生活がスタートしました。まともに稼ぐ術を知らない彼女たちは、真っ当ではないやり方でお金を稼いでいきます。万事うまくいっているときは良かったのですが、何かが狂いだすと全てが崩壊へと向かっていきます。

果たして、この奇妙な擬似家族生活はどうなっていくのでしょうか。。。

【感想】

冒頭の黄美子の逮捕から物語がスタートし、逮捕容疑が監禁であるということからただならぬことが始まる予感がしました。

20年前に一緒に生活をしていた主人公の花もきっと監禁をされていた経験があるんだろうと思いながら読み進めていましたが、いい意味で期待を裏切られる展開となっていました。

主人公の花は家庭環境に恵まれていなかったため、突然現れた黄美子を頼りに2人で生活を始めていきます。その後、2人の少女も加わり、奇妙な共同生活が始まっていきますが、生きていくために稼がなくてはいけません。中卒の花に稼ぐ術があるわけがなく、次第に闇の商売に手を染めていき抜け出せなってしまいます。

犯罪を犯すのはダメだとわかっていながらも抜けられなくなってしまいます。それは生活のためではありますが、一緒に生活をしている黄美子と2人の少女との擬似家族生活を壊したくないという使命感が彼女の行動を止めることを阻んだと思います。

理想郷を思い描いていましたが、世の中、そこまで甘くはないということを痛感させられてしまうあたり、若気の至りということができるのではないでしょうか。

それでも犯罪に手を出すのはダメだろうとは思いますが…

600ページのうち、冒頭と最後の100ページくらいが現代の描写で、残り500ページ以上は20年前の奇妙な擬似家族生活が描かれています。1ページの文字数も多いですが、読みやすく、ストーリーもテンポ良く展開されていくので苦なく読み終えることができました。

残念ながら恋愛要素とスリリングな要素はありませんので、その要素を求めている方にはおススメしません、

ですが、常識では考えられないような奇妙な共同生活がなぜ始まり、どうしてその生活が終わってしまったのかというある種のミステリーを求めている方にはおもしろい本だと思います。