読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

清水カルマ「禁じられた遊び」小説 感想

禁じられた遊び

著者  ;清水カルマ

発行日 ;2019年6月15日 第1刷

     2023年4月15日 第11刷

ページ数;396ページ

読了日;2023年7月17日

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【評価】

● 文字数  ★★☆☆☆

● 読みやすさ★★★★

● スリルさ ★★★★★

● 恋愛要素 ☆☆☆☆☆

● スピード感★★★★★

【あらすじ】  ※ネタバレなし

平和に暮らしている伊原家。主人の直人、妻の美雪、5歳の息子春翔、そして柴犬のポチ。直人は通勤に時間がかかるのを嫌がっていましたが、意を決して、広い庭と自然に囲まれた郊外に一戸建ての家を購入しました。ある日、晴翔がトカゲの尻尾を拾ってきます。初めて見るトカゲの尻尾。切れているのに動いていることが不思議な晴翔。ちょっとしたいたずら心で直人は「その尻尾を土に埋め、水をかけて呪文を唱えると体が生えてくるんだよ」と春翔に言ってしまいます。それを信じた晴翔はその日から毎日水をやり呪文を唱えます。当たり前ですが、尻尾から体が生えてくる訳がありません。しかし、直人は春翔を驚かせようと別のトカゲを捕まえてきて土に埋め、晴翔に掘り起こさせます。春翔には本当に尻尾から体が生えてきたように感じ喜んでいました。そんな平和な日々が続いていましたが、ある日、美雪が交通事故で亡くなってしまうという不幸が伊原家を襲います。突然の出来事に意気消沈してしまう直人ですが、春翔が何かを握っていることに気づきます。それは亡くなった美雪の指でした。ママが亡くなったことを理解できていない春翔は、トカゲのようにママを復活させるために指を土に埋めて水をかけ呪文を唱え続けます。直人は春翔の行動を止めません。

一方、身の回りに奇怪な出来事が起きている人物がいます。倉沢比呂子。かつて直人と同じ会社で働いていて直人の部下でした。2人はお互いに好意を持つ関係ではありましたが、一線は越えずに不倫関係ではありませんでした、ですが、勘の鋭い美雪は2人を怪しんでいました。昔から不思議な力を持っていた美雪は比呂子に憎悪の念を抱いていました。美雪が生きていた時から比呂子の周りでは奇怪な出来事が多発しています。そして、亡くなってからはそれがさらにエスカレートし、比呂子に関係する人が殺されたり、怪我をしたり、比呂子自身も殺されかけます。果たして美雪は呪文によって本当に生き返ったのか?比呂子はこの呪いの呪縛から解放されるのか?直人の冗談から始まったある種の“遊び“が引き起こす恐怖。衝撃の結末が待っています。

【感想】

完全なホラーです。タイトルから平和なストーリーではないと思っていましたが、ここまでリアルにスリルあふれる表現で描くことできるのかというくらい衝撃的な内容でした。非現実的ではありますが、頭の中では鮮明に映像化されるので怖さは倍増です。しかし、次の展開が気になるので途中で止めることはできないくらい引き込まれていきました。きっと最後はハッピーエンドなんだろうと思っていましたが、その期待も見事に裏切ってくれます。正直言って、スッキリとしない読後感です。どんよりした気分になりたい方にはオススメの1冊です。

今年の9月に橋本環奈さん、重岡大毅さんによって映画化されるようです。このホラーをどうやって表現するのか楽しみではありますが、ホラーが苦手な私は映画は遠慮したいと思います。