読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

藤崎翔「逆転美人」あらすじ&感想

藤崎翔「逆転美人」

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著者  ;藤崎翔

発行日 ;2022年10月16日(第1刷発行)

     2023年2月27日(第7刷発行)

ページ数;350ページ

読了日 ;2023年6月4日

【評価】

● 文字数  ★★★☆☆

● 状況説明量☆☆☆☆

● 読みやすさ★★★★

● スリルさ ★★★★★

● スピード感★★★★

【あらすじ】

少し細かく書いていますが、ネタバレはしていないのでご安心ください。

美人に生まれてしまったから味わう不幸。主人公の佐藤香織は幼少期より外見が恵まれていました。小さい時からたくさんの人に「かわいいね」「美人だね」と言われ続けてきました。一般論では、恵まれた人生を送っていそうですが、香織の場合は違いました。幼少期や小学生の低学年の時は何回も誘拐未遂の経験を味わい、高学年では告白された男子からの交際を断ったことで、その男子のことが好きだった親友から嫌われ、中学生では男子からチヤホヤされる香織への妬みから激しいイジメにあい、行き過ぎたイジメにより小指を骨折させらることもありました。結果、不登校となってしました。何とか高校に行くことはできましたが、そこでも同じようなことが起きます。しかし、中学校の時と違うのは、気にかけてくれる先生がいました。いつしかその先生と禁断の恋仲となりましたが、その先生も香織が美人だったから近寄ってきたに過ぎなかったのです。結局、その先生に裏切られ学校に居づらくなってしまい中退。その後、コンビニでのバイトを始めます。ルックスの良さから香織目当ての客が増えて売上も上昇。バイト仲間にも恵まれていましたが、客のひとりが香織を自社の秘書にしたいとヘッドハンティングします。高待遇であり、家庭の事情でお金に困っていた香織は転職を決断。しかし、その会社でもまた香織のルックスが不幸をもたらします。秘書とは名ばかりで社長の愛人になることが条件だったのです。すぐにその会社を辞め、元のコンビニに再度働けるようにお願いに行きましたが、事はそう簡単ではありません。詳細は割愛しますが、そこでも香織のルックスが関係しています。その後、キャバクラで働き始めます。その美貌からすぐにNo. 1に上り詰めますが、学の無さから詐欺にあい、キャバクラも辞めてしまいます。その後、ある男性と知り合い結婚、出産を経験して今までの不幸が嘘のような生活が続きます、しかしそれも長続きはしません。旦那の死亡、父の死亡、娘の下半身麻痺による車椅子生活、そして娘の勉強のお世話をしてくれた高校の先生からの強姦未遂などなど。。。その原因のほとんどが香織の美貌によるものでした。彼女は美人に生まれてきたことを恨んでいます。世の中のルッキズムを憎んでいます。

そんな彼女の半生が手記という形式で描かれて本編は終了します。本編は240ページほどで終了し、残りの110ページほどは「追記」が書かれています。その「追記」でこの本編の真の狙いが綴られています。なぜ、香織はこの不幸な生い立ちを手記として語ろうとしたのか。この本編で本当に伝えたかったこととは何なのか?びっくりするトリックが仕込まれています。

【感想】

まずはタイトル「逆転美人」に惹かれて購入しました。そして、帯に書かれている「伝説級トリック!」。このワードにも興味を持ちました。

あらすじでも書きましたが、主人公香織が自身の半生を手記で綴っています。美人であるが故の苦悩と苦労、そして不幸が「まだ起きるの?」と思わず口にしてしまうくらい繰り返されます。読むのもしんどいくらいの不幸エピソードが続いていましたが、私の中では「伝説級トリック」が常に気になっていたので、これからどんな展開が待ち構えていて、どんなトリックが仕込まれているんだとワクワクしながら読み進めていきました。真相は「追記」を読めばわかりますが、本編でもところどころにヒントが書かれています。それを見抜ける人は果たしてどれだけいるでしょうか?私は当然ながら見抜けませんでした。

ジャンルとしては推理小説かと思いますが、普通の推理小説とは全く違うテイストの小説でした。少なくとも私はこのスタイルの推理小説には出会ったことがありません。なので、最初は全体像を理解するのに少し時間がかかりましたが、状況が把握できるとこのトリックの凄さに圧倒されました。不幸エピソードに少し気が滅入る部分もありますが、最後まで読み切った後の爽快感は格別です。是非、読んでみてください。