読書が苦手な私が読んだ本

私は読書が苦手です。そんな私でも読めた本をご紹介します。実際に本を読んでもらいたいのでネタバレはしないように心掛けています。このブログを読んで「読んでみよう」と思う人が1人でも増えたら嬉しいです。

池上彰最新本『池上彰の「世界そこからですか⁉️」感想

池上彰の「世界そこからですか⁉️」

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  • 著者  ;池上彰
  • 発行日 ;2023年5月30日 第1刷発行
  • ページ数;270ページ
  • 読了日 ;2023年5月31日

久しぶりに小説ではない本を読みました。

私は池上彰さんのわかりやすい解説が好きなので、本屋で新刊が出ているのを見つけるとついつい購入してしまいます。

この本は、タイトルからもわかるように、日々、見聞きするニュースの意味や背景について、基礎から解説してくれています。

読んでいる人が「そこから解説するのか」と驚くほど基礎から始めましょう

と池上さん自身も書いています。

全部で6章から成る構成です。

  1. ウクライナ侵攻後の世界」そこからですか⁉️
  2. 「"不思議の国"アメリカ」そこからですか⁉️
  3. 習近平の中国」そこからですか⁉️
  4. 「岐路に立つイギリスとドイツ」そこからですか⁉️
  5. イスラエルと中東の火種」そこからですか⁉️
  6. 「日本政治と経済の今」そこからですか⁉️

2023年5月30日発刊なので旬な話題と直近の情報が非常に多いです。なので、今ニュースなどで報じられている事案についての理解度を深めるにはもってこいの1冊です。

特にロシアのウクライナ侵攻について、ロシア側(プーチン大統領)がなぜ侵攻しているのかという理由を地政学の観点から解説をしています。「なるほど」と思う部分がある一方で、その理屈は独りよがりの理屈で、共感を得られな理屈であるということもわかると思います。

その他に、アメリカ、中国、イギリス、ドイツ、イスラエル、そして日本、現在、世界中で起きているさまざまな事案について、基礎からわかりやすく解説してくれています。さすがは池上彰さんです。

各章の間に特別対談が3つあります。

🔸特別対談①

    小泉悠(軍事アナリスト

     「プーチンの戦争はいつまで続く」

🔸特別対談②

    マイケル・サンデルハーバード大学教授)

     「能力主義が世界を分断させた」

🔸特別対談③

    柄谷行人(哲学者)

     「世界は『交換』でわかる」

私が興味深く読んだのは、

🔸特別対談②

    マイケル・サンデルハーバード大学教授)

     「能力主義が世界を分断させた」

です。

サンデル氏の著書「能力の独裁(原著タイトルの直訳)」をもとに対談をしています。

その対談の中で出てきた文章をいくつかご紹介します。

平等な社会を作る条件だと考えられている「能力主義」が実は格差を生み、エリートを傲慢にさせ、社会に分断をもたらしている

ハーバードやスタンフォードといった有名大学の三分の二が、上位20%の富裕層の出身だという調査がある。これは東京大学慶應大学においても同じ。その上アメリカでは、卒業生や大口寄付者の子息を優先的に入学させる制度が、裕福な家庭出身の学生を増やしています。

能力主義的なおごりの最もいら立たしい特徴の一つは、その学歴偏重主義だ

君たちは、自分の努力と実力でいい大学に入ったと思っている。しかし、それは運によるものだ

私が問題にしているのは、自分の成功を実力で勝ち取ったものだと信じきってしまうことです

もうひとつ大きな問題は、いい大学を出ることが、お金儲けや社会的な地位を得るためのツールになっていることです

いかがでしょうか?ゾクゾクする文章じゃないですか?

なぜそうなんだ?と思いながら読み進めることができ、新たな気づきになると思います。気になる方は是非読んでみてください。

もちろん各章の「そこからですか⁉️」も読み応えがあります。ただ、世界情勢や地政学に詳しい人には知っている内容すぎて少し物足りないかもしれません。「今の世界の動きについて、少し知識が乏しくて、今さら他の人には聞けないな」と思っている人にはベストな1冊かと思います。