遠越段「時代を超える!スラムダンク論語」内容・感想レビュー
最近では映画化もされ、空前の大ヒットを記録しています。
連載終了から20年以上も経っているのに、人気は衰えるどころか高まっており、連載当時に読者ではなかった世代までもファンになっている現象が起きています。
そんな中、書店で発見したのが本著
遠越段
ページ数;295ページ
刊行日;2023年3月23日
私自身、連載当時は学生で、しかも自らもバスケットボールをしていたので漫画は何回も読みました。
セリフとシーンはバッチリ頭に入ってます。
英語の勉強をしようと思った時も、英語版を全巻購入し、英語の読解力強化のテキストとしても使っていました。
いつも思うのは、「何回読んでも飽きない」ということ。
もちろん映画も鑑賞しました。知っているストーリーなはずなのに手に汗握る展開に気持ちの高まりを抑えるのに苦労をしました。
もちろん作者の井上雄彦氏の演出や画力、ストーリー展開は素晴らしいのですが、本著では2500年前に書かれた『論語』と通じるものがあるから長年人気が衰えないのだと著者は主張しています。
『論語』は約2500年前の哲学者孔子の教えを集めた書物です。
日本でも江戸時代以降に親しまれてきた書物で、徳川家康や幕末の志士たちも愛読していたと言います。
特徴は、読むたびに新しい理解や捉え方があると言われているところだそうです。
そして、「スラムダンク」を読んで何十回目かに『論語』の言葉が浮かび、実際に突き合わせていくと面白いほどにリンクする部分があり、「スラムダンク」をより深く理解することができたということで本著をまとめたようです。
- FIRST CHAPTER ;桜木第一
- SECOND CHAPTER;三井第二
- THIRD CHAPTER ;流川第三
- FOURTH CHAPTER;赤木第四
- FIFTH CHAPTER ;宮城第五
- SIXTH CHAPTER ;安西第六
の6部構成となっていて、
CHAPTER毎にその人にまつわるセリフが紹介されていきます。
その後にそれに紐づく『論語』が紹介されます。
そして、次ページでそのセリフが生まれた漫画のシーンの紹介と解説、『論語』との繋がりを著者の考察を交えて解説してくれています。
誰もが知ってる名セリフももちろん登場します。
いくつかご紹介します。
まずは
最後まで…希望を捨てちゃいかん あきらめたらそこで試合終了だよ
このセリフから連想される『論語』は
冉求曰く、子の道を悦ばざるに非ず。力足らざるなり。子曰く、力足らざる者は、中道にして廃す。今汝は画れり。
次に、
安西先生…バスケがしたいです…
このセリフから連想される『論語』は
子曰く、過って改めざる、是を過ちと謂う
最後に、
左手はそえるだけ
このセリフから連想される『論語』は
子曰く、まことに仁に志せば、悪しきことなきなり
こんな感じで漫画のセリフと『論語』の原文が紹介されます。
原文を理解するのは難しいと思います。
安心してください、本中では分かりやすくちゃんと和訳されています。
気になる方は是非読んでみてください。
ひとつひとつのセリフに対する解説は短く、単発なものが多いのでスラスラと読めます。漫画のストーリーに沿って展開されていますので、スラムダンク好きにはたまらないと思います。
私もどんどんと読み進めることができ、2日間で読み終えることができました。
『論語』に触れたのは中学生以来でした。
「子曰く」から始まることは覚えていましたが、それ以外はほとんど覚えていませんでした。
『論語』の奥深さ、読む度に新たな発見があるということなので、これを機に『論語」に関する書籍も読んでみようと思います。
ここまで熱量高めでご紹介してきましたが、それは私が「スラムダンク」好きだからです。
なので、「スラムダンク」を今までに読んだことがない方、興味がない方には正直オススメしません。
私はこの本を読んで、もう一度「スラムダンク」を読みたくなりました(笑)